第2章 海と大地のまんなかに。
まなかが何を思って濱中の制服を着て来たのかはわからないけど、私達との約束を破ったことに変わりはない。
だから光が怒るのは当然のことで、何もおかしいことじゃない。
寧ろ、どうして私はあそこでまなかを許してしまったんだろう。
まなかの家ですぐに着替えるように言えばよかったんだ。
(そうすれば、光がこんな風に怒ることも、まなかが怒られることもなかったのに…)
そう思うと、すごく自分が自分で嫌になった。
「濱中の奴らにモロッ、目に物見せてやろーぜッ‼︎なぁ⁉︎」
光の大きな声にハッとして我に帰ると、まなかが光に掴まれた腕を揺さぶられ涙目になっていた。
「うぅぅ、いッ、痛いよぉ〜」
頭に血が上っているのか、光がまなかを放す気配はない。
『ちょっと、光!』
まなかの腕をがっしりと掴むその手を引き剥がし、まなかを自分の背に隠して光の前に立つ。
『いくら何でもやり過ぎ‼︎』
光はさらに顔を顰め、掴みかかって来そうな勢いで言った。
「じゃあお前は、約束破ったまなかより俺の方が悪いって言うのかよ⁉︎」
『っ、それは……』
正論過ぎて何も言い返せない。
それでも何か言わなくちゃと考えていると、急に光の視線が私から逸れた。
「ゃ、やっぱり着替えて来るよっ!」
その視線の先にいたのは、さっき私達が下りて来た階段を駆けて行くまなか。
「最初っからそーしろッての!」
『光ッ‼︎』
そう吐き捨てる光がやっぱり許せなくて、思っていたよりも大きな声が出てしまった。
*