第1章 ゆめ
「俺は抱き枕じゃねえっつーの…」
と言いつつ、そのまま大人しく巻きつかれてた。そしたら、くっついてる部分からどんどん熱と眠気が伝わってきて。俺も徐々にそっちの世界に誘われてしまって。まあ、風呂上りだしね。余計に。
「…」
やること…明日でいっか…
「…あふっ…」
…これはもう、どーしようもない。こんなぬくいと。思考回路、完全ストップ…。
カタン…
サイドテーブルにメガネを置いて、俺も負けじと菜緒を抱きしめ返した。包み込むように。
そして、ゆっくりと目を閉じる。
俺から香る、いつもの菜緒の匂い。
そして菜緒のかすかな寝息と、確かなぬくもり。
「…」
…こういうこと、だよな
きっと
“しあわせ”ってのは…
寝入る直前、そんなことをふと思った
から
きっと今宵は、とびっきりいい夢が見れるね。
「…オヤスミ、菜緒…」