第1章 ゆめ
「あ…ったぁ~!」
ようやく発見。どこをどうやって流れたらここに?ってくらい不思議な場所にあった。洗濯機の横の棚の…って、説明してもわかんねぇか(笑)。
菜緒のクローゼットん中に一緒にいれといてくれりゃいいのに。パジャマとか下着の1、2枚、そんなぎゅうぎゅうじゃねえし、全然余裕あんのにさ。
もういっそのこと、俺用のクローゼットひとつ持ち込んじゃうか?勝手に。…超怒るな(笑)。
あ~あ、いつになったらできるんだろ。俺ゾーン…。
…もしかして、菜緒の中にも、まだなかったりして。
俺の
居場所。
「…」
そんなくだらないこと考えてたら、急に切なくなってきて。何となくまた仕事部屋を覗いた。さっきと同じカッコでまだ寝てる。…人の気も知らないでスヤスヤと。
「…」
入り口によっかかったまま、俺は何となく彼女をぼんやり眺めてた。
…少し寒くなってきたな…
「…菜緒。寝んならちゃんとベッドで寝ろよ。風邪引くぞ」
「…すぅ…」
「こ~ら。起きろ。起きろ~」
「…ク―…」
…ダメだ。ガチ寝してやがる。
「ったく…」
しょうがない。運んでやりますか。俗に言う“お姫様抱っこ”ってやつで。
…でもね。これ寝てる人だと相当なのよ、実は。全身力抜けてるし、頭クテンってなっちゃうから。つっても、菜緒ひとり抱き抱えられないほど非力じゃないけどね。鍛えてますからね。