第84章 人を陥れようとすると足をすくわれる。
部屋でドタバタしていると、その騒ぎを聞きつけた土方がその場に駆け付けた。
土方「何騒いで…。あっ!テメーら何勝手に入り込んでやがんだ!」
一同「!」
突然現れた土方に、一瞬時を止めたように固まる三人。バレただろうか、その不安が過った。
だが土方はそれには全く気付いていない様子で、葵咲の首根っこを掴んで銀時から引き剥がした。
土方「お前!葵咲に何してやがる!!部外者は立ち入り禁止だ!とっとと出て行け!」
そのまま部屋から放り出される葵咲。出されたところで掴まれていた首根っこも離された為、葵咲はすかさず土方の腕を掴んだ。
銀時「待って土方さん!」
土方「土方…さん??」
ぞわわっ。一瞬で鳥肌が立つ土方。いつもいがみ合っている相手から“さん”付で呼び止められ、しかも腕まで掴まれて寒気がしたのだ。
それを見た葵咲はハッとなり、慌てて掴んでいた手を離す。
銀時「あ、いや…!」
その隙を見た総悟と一郎兵衛は、すかさず二人の間に割って入る。そして一郎兵衛は葵咲と腕を組み、総悟は右手で葵咲の口をふさぎ、左手で頭を掻きながら笑顔で土方に頭を下げた。
総悟「すいやせん、俺と葵咲が許可したんでさァ。もう用は済みましたんで帰ってもらいやす。」
一郎「そうそう、悪かった。邪魔したな。」
銀時「んーーーーーっ!」
葵咲は総悟と一郎兵衛に引きずられながら、屯所から出された。