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銀魂 - 雪月花 -

第83章 悪気のない天然の方が罪な事もある。


屯所に戻ってきた総悟は、そのまま葵咲の手を引いて自分の部屋へと連れ込んだ。
そして部屋に入った総悟は銀時の手を離し、箪笥から鶯色の着物を出して銀時の前に差し出す。


総悟「とりあえずこれに着替えて下せぇ。」

葵咲「? 葵咲(あいつ)いつもこの着物じゃなかったっけ?」

総悟「いいから早く。」


頭に疑問符を浮かべながらも、銀時は言われるがまま手に取った着物に目を落とした。この着物は何か土方の思い入れのある着物なのかもしれない、と。
だが受け取ったこの着物、何やら見覚えがある気がする。銀時が記憶を手繰り寄せようとしていると、総悟が早く着替えろと促し始めた。
仕方なく銀時は着物を広げるが、ここで別の問題が頭を過り、着替えの手を止めて再び総悟へと目をやった。


葵咲「あいつに内緒で着替えた事バレたら戻った瞬間、俺確実に殺されるんだけど。」

総悟「長襦袢脱いでなきゃ大丈夫でしょ。」


長襦袢とは、着物の下に着る長い着物。洋服でいうインナーのようなものだ。通常、長襦袢は肌襦袢という肌着のような物の上に着る為、現代でいうキャミソール的感覚で、ギリギリOKだろうと総悟は判断したのだ。
銀時が着替え終わると、総悟は銀時の後ろへと回り、髪型をポニーテールに変えた。


総悟「髪型は…こんな感じか。」

葵咲「??」

総悟「旦那、これ持って下せぇ。」


そう言って差し出されたのは激辛せんべえ。見覚えのある特殊な小物を見て、着物の持ち主についても思い出した。銀時が黙って突っ立っていると、総悟はカメラを出してその姿を撮影した。


総悟「記念に一枚…。」

葵咲「テメーの姉貴じゃねぇかァァァァァ!!」


スパーン!
思わず激辛せんべえを投げ捨てる銀時。そんな銀時を見て総悟は怒り顔で首を横に振った。
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