第9章 一番風呂が一番良いとは限らない。
そんな山崎に対して葵咲は眉を下げて首を横に振って言った。
葵咲「そんなの申し訳なくて出来ないよ。」
山崎「いやいや、そっちの方が申し訳ないって!ただでさえ人数多くて時間かかるし、しかも多人数の汗だくの男が入った後のお湯なんてめちゃくちゃ汚いよ!これからは先に入りなよ!」
葵咲「いや、でも私は…。」
理由を話そうとする葵咲だったが山崎は葵咲の話を聞かず、一人で話を続けた。
山崎「俺が局長に話しておくよ。…あっ、ちょっと待てよ。あの人は年中発情期だからな。葵咲ちゃんの入った後って意識するとマズイか。」
葵咲「?」
山崎「俺から副長に話つけとくから。」
話の途切れ目が見えたところで、葵咲は山崎の目を見て話した。
葵咲「退君、ここは江戸の皆を守る為に汗水流して働いた真選組隊士の屯所。真選組の皆の為にある場所なんだから。使用人の私が贅沢しちゃダメだよ。」
そう言われて山崎は呆然としてしまった。
山崎「葵咲ちゃんってホント真面目だよね。」
そこまで気を遣う必要ないのに、そう笑いながら言う山崎とは裏腹に、少し表情を曇らせて葵咲が言った。
葵咲「ううん…そういうのじゃないよ・・・・。」
山崎「え?」