第82章 マウスの実験はあてにならない。
(一郎:…いや、待てよ。それだけ俺は心底葵咲に惚れ込んでるっつー事だな?うん、そうだ。そうに違いねぇ!今の『ドキッ』は葵咲相手だ!!)
一郎「身体なんてのは所詮、魂を入れる器にすぎねぇ。ピーチパイを美味しいと思う、その心に種族はねぇんだよ。」
銀時「なんでクレアの名言出てきてんの?」
途中から心の声が言葉に出ていた。それを聞いていた葵咲は思わずツッコミを入れる。
ちなみにクレアとはテイルズオブリバースのクレアである。この名言が気になる人はTORをプレイしてみよう。
気を取り直し、一郎兵衛は平常心へと戻る。そしてふと頭に浮かんだ質問を葵咲に投げ掛けた。
一郎「そういやぁさ、お前、好きな奴とかいるの?」
銀時「ん?ちょっと待ってよ。」
一郎「?」
質問を投げられた葵咲は、きゅっと深く目を瞑り、う~んと唸り声を上げる。謎の行動に一郎兵衛は眉根を寄せる。少しの間を置き、葵咲は再び目を開けて首を横に振った。
銀時「・・・・うーん、だめだ、銀ちゃんになりきって考えてみたけど出てこないな。分からないや。」
一郎「なんで今気張ったの。」
銀時「う●こ的な感覚で出てくるかと思って。」
一郎「いや、う●こじゃねーんだから。銀になりきっても思考はお前だろうが。出るわけねーだろ。」
葵咲は今自分が銀時の姿である事から銀時の好きな人を問われたと思い、銀時になりきって考えてみたのだった。まさかの行動に一郎兵衛は呆れた表情を浮かべた。
そしてハァとため息を漏らし、煙管を吹かせて言い直した。
一郎「つーか銀の好きな女とか興味ねーよ。お前の話に決まってんだろ。葵咲の話。」
銀時「え?私!?私は…私・・・・は・・・・・。」
一郎「?」
尋ねられたその瞬間はポッと頬を赤らめて目を見開いた葵咲。だがその答えを探そうとする彼女は、次第に色を失い、俯き加減になる。一郎兵衛が片眉を上げて葵咲の顔を覗きこもうとしたその時、銀時の思わぬ行動が葵咲の視界に入った。