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銀魂 - 雪月花 -

第82章 マウスの実験はあてにならない。


なんとか自由を獲得出来た銀時は芝居小屋を出て屯所へと向かう。だが、完全に開放されたわけではなく、葵咲は背後で監視していた。銀時の後ろからじっと見つめる葵咲。その視線に気付いている銀時は舌打ちをする。


(葵咲:くそっ、葵咲の奴ずっと尾行(つ)けて来てやがるな。)


これでは下手な真似は出来ない。まずは葵咲から離れなくては。
銀時は何か良い案はないかと頭を巡らせる。幸い、葵咲の傍に一郎兵衛がいる。暫くは様子を見て一郎兵衛に託すより他なかった。
一方葵咲は、怪訝な目で一郎兵衛に問い掛ける。


銀時「ねぇ。なんで一郎君もついて来るの?」

一郎「これでも一応責任は感じてんだよ。こうなっちまったのは俺のせいだからな。」


一郎兵衛の発言に納得の姿勢を見せる葵咲。葵咲は一郎兵衛も銀時が余計な事をやらかさないように見張ってくれているものと思った。
一郎兵衛のこの発言は嘘ではない。だがその意味は葵咲の考える意味とは全く異なる。その意味とは…


(一郎:こうなったら葵咲が邪魔するのを邪魔するしかねぇからな。)


葵咲が銀時を監視する状況になってしまった事に責任を感じているのである。一郎兵衛は自分達の目的を気取られないよう、発言や行動に気を配りながら歩く。
その時、一郎兵衛の背後に自転車が。一郎兵衛は葵咲にばかり注意を払っていた為、自転車の存在に気付いていなかった。


銀時「!」


自転車に気付いた葵咲は、一郎兵衛の腕をグイッと引く。急に手を引かれた為に一郎兵衛は体勢を崩し、銀時が咄嗟に一郎兵衛の肩を抱いて受け止めた。


銀時「おっと。」

一郎「!?」

銀時「大丈夫?怪我はない?」

一郎「あ、ああ。悪いィ、助かっ…」


ふと顔を上げると銀時との顔の距離が近かった。
ドキッ。
鼓動が高鳴る一郎兵衛。一瞬時を止めてしまうが、すぐさまハッと意識を取り戻し、慌てて銀時から離れた。


一郎「ぬぉぉぉ!!」

銀時「?」

(一郎:…ってちょっと待てェェェェェ!!なんだ今の『ドキッ』って!ダメだ!気をしっかり持て、俺!!中身は葵咲と言えど今の外見は銀なんだぞォォォォォ!!そっちに行くな!俺ェェェェェ!!)


まさかのBL発動に戸惑う一郎兵衛。必死に先程の胸の高鳴りを掻き消す為にブンブンと頭を振る。そして自分に言い聞かせるように更に思考を巡らせた。
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