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銀魂 - 雪月花 -

第81章 何を考えてるのかなんて本人しか分からない。


銀時「お前が入院中に病院で俺とヅラに訊こうとしてた事、退院の時に言おうとしてたのは…この件か?」

葵咲「退院の時はそう。でも入院してた時は、ちょっと違うかな。その時はまだ傷の事は知らなかったから。でも疑問はあった。だからそれを聞こうとしてたの。高杉ほどの実力者が、なんであの至近距離で私を殺せてなかったのかなって。」

銀時「・・・・・。」

葵咲「傷の事は退院する時、先生に聞いたんだ。」

銀時「なるほどな。」


最初は素朴な疑問だった。何故自分が生きているのか、生かされているのか。だが退院する際に医師から入院期間が通常より長引いてしまったワケを聞かされた事で、その疑問は更に大きく膨らんだのだ。


葵咲「銀ちゃん言ったよね、私を殺さなかった事に意味があったとしても、それはまた私を利用する為だろうって。私もね、最初はそう思ってたんだ。けど、傷の事聞いて…モヤモヤした気持ちが、変な期待が生まれちゃった。だってそうでしょ?私を利用する為に生かしたにしても、そこまで私に気を遣う必要、ある?って…。私、いつもネガティブなくせに、こんな時だけポジティブに考えちゃってんだよ。笑っちゃうよね。」


それは松本から真実を聞いた土方にも浮かんだ疑問である。そして銀時も。ただ単に生かす事が目的だったならば、致命傷を避ければ良いだけの話。極力傷付けないようにと内臓の位置まで配慮する必要は無い。葵咲に変な期待が生まれるのも無理の無い話だった。
銀時は葵咲へと向けていた視線を前に向け、ぼそりと呟いた。


銀時「…高杉にとってお前は…どういう存在なんだろうな。」


その呟きは葵咲に向かって放ったというよりは独り言に近い。今までは葵咲も高杉にとっては自分や桂と同じく幼馴染の一人でしかないと思っていた。いや、葵咲は松陽の姪。高杉が人一倍松陽を慕っていた点から、高杉にとって葵咲は自分よりも大きな存在である事は確かだ。
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