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銀魂 - 雪月花 -

第80章 想いを示すなら百の口説き文句より一の態度


葵咲は一郎兵衛の言葉に耳を傾けた後、再び禿の少年へと視線を向ける。


葵咲「お名前は?」

「中村です。実は役者としての芸名は獅童さんのお名前を貰ったんですよ。憧れだったので凄く嬉しくて。」

銀時「“中村獅童”になるじゃねーか。いいの?それ。」


頭に浮かんだツッコミをすぐさま口にする銀時。だがそれには誰も反応せず、話はトントン進んでいく。


中村「将来の夢は結子ちゃんと結婚する事なんです。」

銀時「やっぱり“中村獅童”じゃね!?いいの?それ!マズくね!?マズイ展開にならねぇ!?」


一人焦り顔を浮かべる銀時だが、周りは誰も何もツッコまない。中村と名乗る少年は右手に固く拳を作り、今後の意気込みを述べる。


中村「更なる目標は獅童さんの無念を晴らす事です!僕は一生結子ちゃんの傍にいます…!!」

銀時「それ明らかに一郎兵衛(コイツ)の話じゃないよね!?本物の中村獅童の事だよね!?超マズくね!?」


結局銀時のツッコミには誰も答えなかったが、ひとまず雑談は終了。一郎兵衛は中村を舞台袖に戻るよう促し、銀時と葵咲に向き直る。


一郎「じゃあ俺らは準備に入っからここで待っててくれよな。」

葵咲「うん、いってらっしゃい。」

銀時「期待せずに待ってるわ。」

一郎「いちいちオメーは一言余計なんだよ。」


軽く銀時を睨んだ後、一郎兵衛も現場監督、兼役者として舞台袖に行く為に関係者専用扉の中へと入っていった。
そうして数分も経たないうちに場内は暗転する。いよいよ開幕だ。葵咲は高揚した様子で両手を合わせる。


葵咲「お芝居なんて見るの初めてだから、凄くワクワクする!」


そんな葵咲の横顔を、銀時は何かを考えるようにじっと見つめていた。


銀時「・・・・・。」
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