第80章 想いを示すなら百の口説き文句より一の態度
だがその時、一郎兵衛の横顔に飛び蹴りが炸裂した。
ドガッ!!
一郎「ぐべらっ!」
勢いで跳ね飛ばされる一郎兵衛。そのまま壁へと激突した。
一郎「いってーな!誰だコラァ!何しやがんだァァァァァ!!」
突然の強襲に怒り叫ぶ一郎兵衛。そんな彼の頭上に低い声が降り注ぐ。
「そりゃこっちの台詞だろうが。」
一郎兵衛は蹴られたところを摩りながら起き上がる。そして声の主へと目を向けると、そこには静かな怒りに満ちた銀時が立っていた。
銀時「一郎兵衛くーん。昼間っから道の往来で何してんの?」
一郎「げっ、銀。いくらお前でもいきなり飛び蹴りはねーだろ。恩人だからって調子乗んなよコノヤロー。」
銀時の顔を見て苦い顔を浮かべる一郎兵衛。華月楼では銀時にその身を護ってもらった恩義がある為、あまり強くは出られない。
蹴飛ばされた際に着物についた土埃を払いながら立ち上がり、やんわりと言い返す。そんな一郎兵衛に対して銀時は更に言葉を返した。
銀時「そっちこそ自由になったからって調子乗ってんじゃねーぞバカヤロー。オメーは大人しく『斉藤さんだぞ。』とか言ってりゃいいんだよ。」
一郎「それ別の斉藤さんじゃねーか。しかもちょっとネタ古ぃーし。つーか銀魂(この世界)で斎藤(その呼び方)はマジやめて。後々ややこしくなるから。別の斉藤さん出てくるから。」
トレンディエ●ジェルの斉藤氏のモノマネを促されるも勿論乗ったりはしない。何より、銀魂には斉藤終という重要人物が後々登場する。その事で一郎兵衛は本名の苗字の方は口に出さない旨を促すのだった。そして一郎兵衛は頭に浮かんだ素朴な疑問を口にする。