第79章 普段お母さんがしている仕事はお父さんには出来ない。
松本「まったく!貴方がた、それでも彼女の上司ですか!?彼女を過労死させるつもりですか!」
土方「俺は何もしてねーよ!あいつらが勝手に…!」
いらぬ事をして葵咲の仕事を余計に増やし、彼女の身体に負担を掛けたのは他の隊士達と万事屋だ。その事を告げようとするが、言い終わらぬうちに松本が口を挟む。
松本「何もしていないのも問題です!いや、他の人間が何も出来ない事が問題なんですよ!葵咲さんの普段の仕事量も多すぎなんじゃないんですか!?」
真選組は会社ではないが、組織として誰かが休んだ際には別の者が代わりに業務を遂行出来る環境は必要だ。その事を松本は訴えたのだが、土方には伝わってはおらず、子どもの口喧嘩のように反論した。
土方「それだって俺が押し付けてんじゃねぇ!あいつが一人で抱えこんで…」
松本「それでも管理責任を問われるのは上司である貴方です!昨今、男尊女卑だ何だと言われるこのご時勢ではありますが、彼女は女性です。男性とは体力が違います。いくら真選組隊士とはいえ、身体に負担を掛けるような仕事の与え方はやめて下さい!」
口喧嘩がヒートアップしてきた。見るに見かねた近藤が二人の間に割って入る。
近藤「ま、まぁまぁ落ち着いて…。」
第三者のように喧嘩を止めようとする近藤の発言に、松本の矛先は近藤へと変わる。
松本「最終的には局長である貴方の責任ですよ。隊士としての仕事なんて辞めさせるべきです!」
近藤「ぐっ。それはそうなんだが…。」
松本の言う事は最もだ。最もなのだが受諾出来ない理由がある。近藤はその訳を話すかどうか躊躇したが、松本も今や真選組に関わる人間。今の状況も含めて話すべきだと判断し、近藤は深く溜息を吐いた後、頭を振って言葉を押し出した。
近藤「…実はな…。」