第79章 普段お母さんがしている仕事はお父さんには出来ない。
食堂での仕事を終え、自室へ戻ろうとする葵咲。
(葵咲:なんだろう…ドッと疲れが…。)
心なしか動悸も激しくなっている気がする。無理に身体を動かしたせいで熱が上がってしまったのだろう。
フラフラしながら歩いていると、庭先から声が聞こえてきた。
「あれ?おかしいな。」
葵咲「ん?」
何気なく声のする方へと目を向ける葵咲。そこにいたのは新八だった。新八は植木の前でしゃがみ込んでいたのだが…。
葵咲「!? 新八君!何やって…!」
葵咲はぎょっとして慌てて新八の傍へと駆け寄る。新八の前に植えてあった植木が必要以上に剪定されている。
それだけではない。植木の根元に植えられている花がしなびていた。葵咲の声を聞いた新八は振り返る。
新八「ああ、葵咲さん。植木が伸びてたので剪定したんです。ついでに水もあげた方が良いかなと思って撒いたんですが、しなっとなっちゃって。」
葵咲「それはそんなに切らなくて良い植木だよ!それに今朝水撒いたから!あんまりあげすぎると根腐れが…」
植木の剪定は意外と難しい。素人が適当に切ると枯れてしまう事もあるのだ。だからこれ以上触らないで欲しい。そうハッキリ言いたいのは山々だが、言い方を考えなければキツく聞こえてしまう。
熱のせいで頭が回っていない葵咲だが、なるべくオブラートに包んで発言しようとしたその時、近くで銀時の声が上がる。
銀時「あれ?なんだこれ。子ども服?」
その発言に嫌な予感がした葵咲は慌てて視線を向ける。そこには洗濯物を干そうとしている銀時の姿が。
その手に持っていた服は至極小さく、子ども服サイズであった。葵咲は顔を青くして銀時の傍に駆け寄る。
葵咲「ちょ、銀ちゃん!?何してんの!?」
銀時「何って見りゃ分かるだろ?洗濯だよ。なぁ、真選組に子どもいんの?」
葵咲「まさかこれ普通に洗濯機で洗っちゃった!?」