第78章 天は二物も三物も与えはしない。
それから三十分も経たないうちに銀時は新八と神楽を連れて再び屯所へ。屯所入口で銀時は二人に向けて声を上げる。
銀時「お前ら!よーく聞け!今葵咲は働けねー状態だ。俺達が葵咲の代わりにあいつの仕事をする!それが今日の俺達のミッションだ!」
新八・神楽「うっす!!」
銀時の大声を聞きつけ、その場に近藤や土方、数名の真選組隊士達が駆け付ける。
近藤「ちょ!お前ら何勝手に入り込んでんだ!」
三人を追い出そうとする近藤に、銀時は真剣な眼差しを向ける。
銀時「葵咲の仕事、俺達が手伝ってやるよ。」
近藤「はぁ!?んな事言って、どうせ後で多額の請求するつもりなんだろ!」
万年金欠気味の万事屋一行。拝み屋の時といい、産業医面談の時といい、その魂胆は見え見えだ。近藤が銀時の腕を掴んで屯所の外へと引きずり出そうとすると、銀時はその手を振り払い、なおも真剣な表情で近藤に語り掛けた。
銀時「んな事しねーよ。困った時はお互い様だ。」
近藤「万事屋…。」
その瞳に嘘は見えない。近藤は彼らの温情を足蹴にしてしまった事を恥ずかしく思った。そして銀時は真剣な眼差しのまま続ける。
銀時「だから…俺が困った時も助けてくれ。俺もCTとかMRI撮ってもらえませんか。」
近藤「…気にしてたのか。」
行き着くところは結局同じだったわけだが、銀時の事が少し不憫に思えた為、怒りは込み上げてこなかった。近藤は眉尻を下げて頷く。
近藤「分かった。俺が掛け合ってやる。」
その言葉を聞き、今度は新八と神楽が声を上げる。
新八「実は僕、今度販売されるお通ちゃんグッズ買うお金無くて困ってるんですよ。」
神楽「私はお腹が空きすぎて餓死しそうネ。高級料亭の料理をたらふくで良いヨ。」
土方「結局たかりに来たんじゃねーかァァァァァ!!」
鋭いツッコミが入ったが、真選組メンバーも葵咲の仕事を手伝うという万事屋の意見には賛成だった。こんな時くらい、仕事の事を忘れてゆっくり休んで欲しい。そう思った山崎は声を上げる。
山崎「でも、旦那の言う事も一理ある。俺達も葵咲ちゃんの代わりに出来る事をしよう!」
原田「そうだな!」
「おぉー!!」
万事屋と真選組隊士達で葵咲の仕事を代わりに行なう事にした。