第78章 天は二物も三物も与えはしない。
心配して損した。そう言わんばかりに溜息を吐いて椅子に座りなおす銀時。だが松本は至って真剣な表情のまま言葉を放った。
松本「冗談はさておき、貴方、糖尿病を患っていますね?」
銀時「え!?なんで分かったの!?マジで為頼先生!?」
まだ健康診断の検査結果は見せていない。これではまるで見ただけで病気を診断出来る為頼そのものではないか。
銀時は少し高揚しながら目を瞬かせていると、松本は一瞬不敵な笑みを浮かべ、次に深く目を瞑って続けた。
松本「前に一度、それが原因で睾丸の爆発の危機にまで到った…。」
そう言って松本は白衣の下の胸ポケットへと手を伸ばし、中から一枚のカードを取り出す。そのカードの裏面は真っ黒で何も描かれていない。そして銀時の方へと掲げながら真剣な瞳を向けた。
松本「そう、それが貴方の“弱み”。プリズン…」
銀時「オンしねーよ。人間カードになんてならねーから。それ弱みでも何でもねぇから。睾丸爆発してねーし。んな事ァ全国の読者が知ってんだよ。つーか弱み云々言うならプライバシーの保護をしてくれ。」
危うく人間カード(マンガBOX連載中)の世界へと引きずり込まれるところだった。危なかった。色んな意味で。
ちなみに睾丸の爆発とはコミック11巻、第88訓のお話。銀時と服部が謎の陰謀に巻き込まれそうになった件だ。糖と尿が超反応を起こして爆発すると診断された。勿論それは嘘だが。
人間カードの危機を脱した銀時だが、プライバシーの保護という訴えは聞き入れてはもらえず、松本はさらっと流して話を進めた。
松本「今日は検診の結果が出たんですよね。見せて下さい。」