第76章 人に教える事は自分の勉強になる。
松本「もしかして、華音という男の術攻撃を受けたのですか?」
銀時「! ああ。そうだ、何か知ってんのか?」
松本「彼は確か、特殊な能力を持つ天人。対象者を幻術世界に誘ったり、別の異空間へと送り込めたりする能力を有すると聞いた事が。種族名は…“うちは”?でしたっけ…。」
銀時「それ絶対違うと思うんだけど。確かに“無限月読(むげんつくよみ)”みてーな能力だったけど。」
決してボケようとしている様子はない。真剣に“うちは”と語る松本を見て銀時は、『この男も少し天然が入っているのかもしれない。』などと思った。
自分が誤った発言をしている事に気付いた松本は、少し恥ずかしそうに頬を染め、咳払いをしてから話を続けた。
松本「種族名は失念しましたが、その能力に差異は無いでしょう。特殊な作用が身体に負担を掛けた可能性もあります。念の為、後日専門機関で検査を受けて下さい。」
葵咲「分かりました。」
葵咲が松本の助言をしっかり受け止めていると、騒ぎを聞きつけた花魁達がその場に集まり始める。
「獅童さん!菊之丞さん!」
獅童「お前ら…。」
「一体何が…??」
その場に集まった花魁や新造達は、松島や鳥居の裏事情を全く知らない様子だった。楼主の松島が逮捕された今、事件を隠し通す事は出来ない。
事件の全貌を知らない彼らに、近藤と土方が起きた事件について掻い摘んで説明を施した。
「そんな事が…。」
近藤「松島は逮捕。このままいくと楼主不在により、華月楼(ここ)は営業停止になるだろう。これからお前達はどうする?」
獅童「・・・・・。」
近藤からの問い掛けに獅童は眉根を寄せて深く考え込むように俯く。獅童が口を噤んでいると、話を聞いた花魁達は互いの顔を見合わせて頷いた。
「俺達は…ここに残ります。」
獅童「!」
- 次回予告 -
いよいよ大江戸恋奉行編クライマックス!
獅童の決断は?
そして松本に下される判決は??
次回もお見逃しなく!(^o^)/