第76章 人に教える事は自分の勉強になる。

松本「葵咲さんは大丈夫ですか？お怪我は？」

葵咲「私は大丈夫です。」


笑顔で言葉を返す葵咲。だがそれに横槍を入れるように土方が口を尖らせながら言った。


土方「大丈夫じゃねーだろ。変な事口走りやがって。一回見て貰った方が良いんじゃね？頭を。」


先程の“不順異性交遊”がよほど気に入らなかったらしい。葵咲の夢の中では事実なのだが、何とも説明する事が出来ずに　ただただムッとしながら土方を睨む。そしてこの場に今度は近藤と山崎が駆け付けた。


近藤「トシ！葵咲！」

葵咲「近藤さん！」

近藤「良かった！無事だったんだな！」


二人の無事な姿を見て安堵する近藤。近藤を更に安心させるように、葵咲は笑顔でピースサインを作った。その場が次第に賑やかになる事で、葵咲と同じく気を失っていた銀時が目を覚ます。


銀時「…っつ…ててて…。」

葵咲「あっ、銀ちゃん！」


その目覚めに気付いた葵咲は慌てて銀時の傍にしゃがみ込む。松本も獅童を一度放し、銀時の傍へと駆け寄った。


松本「大丈夫ですか？」

銀時「おぉ。何とか戻ってこれたみてぇだな。」

葵咲「え？」


“戻ってこれた”というフレーズを聞き逃さなかった葵咲。葵咲が目を瞬かせながら銀時の瞳をじっと見据えると、銀時は頭を摩りながら言葉を付け加えた。


銀時「よく分かんねーけど意識だけ異次元に飛ばされちまってたみてぇだ。」

葵咲「銀ちゃんも！？」

銀時「やっぱりお前もあの空間にいたんだな。」


銀時の台詞で、自分が単に夢を見ていたのではない事に気付く葵咲。そして葵咲のその台詞で銀時は二人が同じ異次元へと飛ばされていた事に確信を持ったのだった。
だがその事が通じているのは銀時と葵咲の二人だけ。蚊帳の外状態の土方は呆れた顔で溜息をつく。


土方「二人して頭でも打ったのか。」


土方の声を聞いて、その場に土方がいる事に気付いた銀時。銀時は銀魂高校の世界での土方を思い出して叫んだ。


銀時「あっ！てめっ！不順異性交遊絶対反対ィィィィィ！！」

土方「だからさっきから何なんだよオメーらァァァァァ！！俺ァどんな設定の異次元だ！！」


その怒りは最もである。勝手に異次元空間へと出演させられた挙句、不順異性交遊をしようとしていた設定なのだから。
そしてここで何かに気付いたように松本が口を挟んだ。