第1章 自分のそっくりさんは世の中に三人はいる。
「念の為ですよ。大丈夫です、安心して下さい。護り屋吉田の名にかけて、貴方をお守り致しますから♪我が命に替えても!」
土方「ああ。護り屋ね。・・・・・え?護り屋?」
ショートしかかっていた土方の頭に届いた言葉は、土方の想像とは遥かにかけ離れた物だった。その為、状況を把握するのに時間が掛かってしまったことは、言うまでもない。
「はい。あ、申し遅れました。私、護り屋、ボディーガードの仕事してます、市村葵咲(いちむらきさ)と申します。今日一日体張って返します♪」
『なんなら、今すぐ身体で払ってもらってもいいんだぜ?』、この言葉に対して、護り屋の職業を営んでいる葵咲がボディーガードと受け取ってしまうのも無理はない。…いや、この女の場合は天然だ。護り屋の仕事をしていなくても、そう受け取ったかもしれないが…。
土方「…いや、身体で返すってそういう意味じゃねぇんだけど…。」
思わず反論してしまった土方だったが、きょとんとしている葵咲の表情を見て、この女が天然素材である事を思い出し、言っても無駄であるとすぐさま悟り、理解を求める自分に諦めた。
土方「あー・・・いや、何でもねぇ。」
葵咲「? んじゃまぁとりあえず…私の家にGO!!」
土方「ちょ!オイィィィィィ!!!!!」
葵咲は土方の手首を掴み、勢い良く自宅の方へと走り出して行った。