第75章 大物が釣れたら後の魚への興味は一気に失せる。
激しく一気に流れ込む大量の記憶に耐え切れず、銀八、いや、銀時はその場にくずおれた。
突然その場に崩れ落ちる銀時の傍に剣道部の部員達と松平が駆け寄る。
「先生!?大丈夫っすか!?」
松平「おーい、どうしたァ?」
膝を突きながら頭を抱える銀時。一瞬で全ての記憶が戻った事により、整理がまだ出来ていない。
銀時「俺ァ今まで何して…。」
だがすぐに全ての記憶が繋がり、銀時は華音の事を思い出す。そして両手で傍にいた松平の二の腕を掴んで訴えた。
銀時「っ!そうだ!あいつは!?」
松平「あいつゥ?」
銀時「華音って奴だよ!あのヤロー江戸を潰す気だ!お前警察庁長官だろうが!黙って見過ごす気か!?」
松平「あぁん?何言ってやがんだコイツぁ。頭でもぶつけたか?」
怪訝な顔を浮かべる松平。松平には全く話が通じていない。松平も記憶喪失の状態になっているのか、それともあくまでここの登場人物として現実世界とは関係ないという事なのか。判断がつかない。
だがどちらにせよ、今この場にいる松平に話しても無駄だと思い、掴んでいた手を離した。
銀時「チィッ。埒が明かねぇ。」
その場から走り出そうとする銀時に、剣道部の部員の一人が声を上げる。
「…とっ、咎人だァァァァァ!」
銀時「は?」
聞き慣れないフレーズに、思わず足を止める銀時。部員は慌てた様子で叫び続けた。
「耳を傾けるな!咎人は心を惑わせるんだ!」
銀時「ちょ、咎人って何。」
どう対処して良いか分からない銀時はその場に立ち尽くす。周りはざわめき、不審な瞳を銀時へと向けていた。
そして今度は松平が大声を上げる。