第75章 大物が釣れたら後の魚への興味は一気に失せる。
二人は駅前へと辿り着く。
お目当てのクレープ屋へ…足を進めようとした土方は急に立ち止まった。
土方「げっ!」
思わず葵咲も足を止めて土方の視線の先へと目を向ける。そこには見張りに来ていた銀魂高校の教諭の姿があった。
葵咲「あちゃー…先生が張ってるね。」
恐らくここに寄り道して帰る生徒が多いのだろう。校則違反者を取り締まる為の見張りだ。店の前に立っている教諭は、松平、服部、坂本の三人。三人が立ち去る気配は全く無い。
葵咲「どうしよう、今日は諦めて帰る?」
土方「チィッ。仕方ねぇ、奥の手を使うか。」
葵咲「奥の手?」
折角ここまで来たのに何の挑戦もしないまま踵を返すのは悔しい。諦めきれない土方は懐から携帯を取り出した。何やら秘策があるようだ。
土方「あーもしもし、近藤さん?」
近藤「おぉ、トシか。どうした?」
電話の相手は風紀委員長、近藤勲。土方の親友である。近藤は突然の土方からの電話に驚きながらも嬉しそうな様子だ。土方は至って真剣な声音で言葉を放った。
土方「あの女が駅前のクレープ屋で待ってる。」
近藤「え!?ま、まさかお妙さんが俺の事を…!?行くゥゥゥ!勲、すぐに行っきまァァァっす!!」
近藤は一方的に叫んで電話を切ってしまった。