第74章 夢は起きた瞬間に忘れてしまう事が多い。
屋上入口の扉の上にはタンクがある。そのタンクの上から葵咲達をを見下ろす怪しい影があった。
華音「あれ?なんだこの世界…。しかも現実とちょっと違うみたいだし。おっかしいなぁ~。」
そう、華月楼で葵咲・銀時と対峙した天人、華音である。
華音は葵咲から視線を外し、額に手を掲げながら周りの景色を眺めた。
華音「二人の“記憶から出来上がった夢の世界”のはずなんだけど…。」
周りの景色を確認しながら眉根を寄せる華音。確認した後は掲げていた手を下ろし、少し悔しそうな唸り声を上げて腕組みする。
華音「僕もまだまだって事か。もっと修行しなくちゃ。でもまぁ、これで二人はこの世界に縛られる。」
そう言って再び葵咲達の姿を見下ろし、嫌な笑みを浮かべた。