第74章 夢は起きた瞬間に忘れてしまう事が多い。
月詠「ようやく目が覚めてきおったか。」
銀八「???」
まだ頭がぼーっとしている。そんな様子でベッドから動こうとしない銀時に、月詠はとうとう痺れを切らせた。月詠は眉根を寄せながらもベッドの端に腰掛ける。そしてわざとらしく足を組み、色っぽい仕草を見せた。
月詠「さっさと授業に行かんか。それとも…」
銀八「?」
月詠「ここでわっちと一発、ヤッてくか?」
銀八「!?」
そう言って月詠は少し頬を染めながら自らの胸元に人差し指を掛け、胸元をチラつかせる。銀時は目を見開いて上半身を引いた。
その時ちょうど、授業時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
銀八「すすす、スミマセンッッッ!!あのっ!僕、休み時間の後、授業あるんでっ!失礼しまっす!」
完全なる裏声だ。銀時は慌てた様子でベッドから降りて駆け出していった。
月詠「なんじゃ、冗談の通じんヤツじゃのう。」
本気で誘ったわけではない。ただからかっただけだ。月詠は呆れた表情で銀時の出て行った入口へと目をやっていた。