第8章 出かける時はちゃんとその事伝えなきゃダメ。
その言葉を聞いて、山崎は葵咲がここに来る前、攘夷志士である桂や高橋に利用されそうになったという話を思い出した。攘夷志士に絡まれた件については勿論隊士全員が知っているわけではないが、山崎は監察という立場上、その事実を知らされていたのだった。
山崎はふと、葵咲は攘夷志士を惹き寄せる何かがあるのかもしれない、そんな事まで考えてしまった。
土方「ただでさえ女ってことで狙われやすいんだ。事件に巻き込まれる可能性が高ぇ。」
そう言った土方の表情は至って真剣で、これは冗談を言っていい場面ではないのだと山崎は思い、にやけた表情を改め、真剣な表情で土方を見た。その表情を見るやいなや、土方は踵を返して屯所の玄関の方へと足を向けた。
土方「…ちょっと探してくる。」
山崎「あ!副長!!」
特に山崎に何かを指示することはなく、山崎の呼びかけにも応えずに土方は屯所を出て行った。