第73章 記憶を消しても罪は消えない。
その頃、真選組はこの一件の片付けを進めていた。鳥居と松島の二人は、総悟が護送車両へと連行している。関与していた花魁達も大方確保し、山崎は室内に残された違法薬物の山積みダンボールの前で仁王立ちしていた。
山崎「流石にこの量を今日運び出すのは厳しいですよね。どうします?」
土方「・・・・・。」
持ち出しだけで骨を折りそうな量だが、それ以前に保管する場所がまだ決まっていない。それについて相談するも、土方は無反応。山崎は呆れた顔で再び土方へと声を掛けた。
山崎「副長、副長!聞いてます?」
土方「え?何か言ったか?」
心ここにあらずといった様子の土方。その理由に察しのついた山崎は大きな溜息を漏らす。
山崎「…ハァ。分かりやすすぎでしょ。」
土方「あぁ?何だよ。」
呆れ顔を向けられて苛立つ土方。このままではまた山崎が八つ当たりされ兼ねない。そう思った近藤はフッと笑みを零して二人の間に割って入った。
近藤「トシ、こっちの事は俺達に任せろ。お前は葵咲のところへ行け。」
土方「なっ、何言ってんだよ、近藤さん!こんな混乱した状況じゃ…」
近藤「気になって仕方がないんだろう?」
土方「バカ言ってんじゃねーよ!誰があんな天パとの事なんか!」