第73章 記憶を消しても罪は消えない。
咄嗟に慌てて滑り込むように伏せる葵咲と銀時。
それと同時に暗闇の中明るい閃光がカッと走り、近くの柱が爆発のような衝撃を受けて崩れ落ちた。
銀時・葵咲「!?」
二人は起き上がり、攻撃元へと視線を向ける。そこには拳銃のような武器を片手に葵咲達に歩み寄る華音の姿があった。
華音「あれ?君は…さっきの天パさん?死んでなかったんだ、意外とタフなんだね。それに反射神経もまぁまぁだね~。今のは絶対しとめられたと思ったんだけど。」
笑顔で感心したような声を上げる華音。それを視界に捉えた銀時は華音を全力で睨み付ける。
銀時「てめぇ…!」
葵咲「え?もしかしてあの子が!?」
想像していたよりも大分幼いその姿に葵咲は驚いた。容姿や風貌までは聞いていなかった為、葵咲は勝手に自分達と同じくらいの齢だと思い込んでいた。
銀時は華音の動きに注意を払いながら言葉を繋げる。
銀時「ああ。宇宙海賊、鐡の…」
華音「第三師団団長の華音です。以後お見知りおきを。って言っても以後はないか~。二人ともここで死んじゃうんだから…ね!!」
言い終わるよりも早く攻撃を仕掛ける華音。華音は右手に持っていた武器を素早く構えて撃つ。先程と同じ攻撃が銀時達を襲った。二人は慌てて左右に転がり込んで攻撃を交わした。
華音「やっぱり君達、ここでしっかりと殺しておく事にするよ。危険因子は早めに摘み取る事が得策ってね。」
拳銃のような武器をくるくると回しながら笑顔で話す華音。そんな無邪気な笑顔とは裏腹に、華音は冷徹な殺気を放ち、空気はピリピリと緊張していた。