第73章 記憶を消しても罪は消えない。
菊之丞「いえ、こちらこそ。この度は私を使って頂き、有難うございました。メロンです、請求書です。」
銀時「どこまでドク●ーXだァァァ!つーか何処から出したの!?そのメロン!」
何処からともなく差し出される風呂敷に包まれたメロン入りの木箱。ツッコまずにはいられない。
そして菊之丞は懐から請求書を取り出す。銀時はお約束の展開を分かっていながらも請求書を受け取った。
銀時「どうせ請求書の金額も…やっぱり五千万円んんん!!切って膿出しただけでこの金額はねーだろ!!」
ドク●ーXは、事実の隠蔽やマスメディアへの宣伝効果等、それなりに理由があってのこの金額だ。だが菊之丞の今の処置はそれらは特に無い。納得のいく金額ではなかった。
クレームを付ける銀時に対し、菊之丞は平然とした様子で理由を話す。
菊之丞「今破ったこの着物、一級品なんです。五千万円ほどしますので。」
銀時「そうなの!?先に言ってよ!それなら俺の着物切ってくれれば良かったのに!つーか着物代だけって施術代は!?」
菊之丞「プライスレスです。」
銀時「菊之丞の全ては優しさで出来ているゥゥゥ!!」
色々驚愕過ぎる。血を抜いたばかりの銀時はフラリと倒れそうな勢いだ。
だがそんな二人のやり取りを楽しそうに眺めていた葵咲は銀時の背中をポンと叩いて笑顔を向けた。
葵咲「でも大した事なくて良かったね。」
銀時「別の意味で一大事なんだけど。」
突然出来た五千万円もの借金は一大事以外何者でもない。冷静に返す銀時だが、葵咲はそれ以上はその件には触れずに話を本筋へと戻す。
葵咲「この傷ってもしかして宇宙海賊との戦闘で?」
銀時「お前、知ってたのか?」
葵咲「さっき菊之丞さんに聞いたの。そいつは今何処に?」
銀時「さぁな、とりあえずさっきは天井裏にいやがった。」
言うと同時に銀時は上を見上げて、開いた天井の穴の中に目を凝らす。葵咲も一緒に首をもたげて天井裏を睨んだ。