第73章 記憶を消しても罪は消えない。
菊之丞「大丈夫ですよ。私、失敗しないので。」
銀時「何処のフリーランス!?つーか麻酔ぐらいしろよォォォ!!」
菊之丞「致しません。」
銀時「なんでだよ!」
菊之丞「医師免許無くても出来る仕事、致しません。」
銀時「いや医師免許いるから!麻酔科医医者だから!つーか何、拷問!?俺に恨みでもあんの!?」
溢れ出る菊之丞からのボケの嵐を瞬時に捌く銀時。だがこれは傷口に堪える。ボケの雪崩を止める為に銀時は菊之丞に質問を投げ掛けた。その質問に菊之丞は平然と答える。
菊之丞「先程言ったじゃないですか。葵咲さんのいる側(そちらがわ)に行きたいと。」
銀時「そちら側って“ボケ側”の事ォ!?つーかツッコミは闇だと思ってたんかぃ!それ新八君の前で言ってみて!彼、全然卑屈じゃないよ!誇りに思って生きてるよ!!」
葵咲「忖度致します。」
銀時「何をだよ!オメーはとりあえずドラマの台詞並べ立ててるだけだろーが!!」
初めてのボケ役体験に満足した菊之丞は、話を戻して真面目な回答を告げる。
菊之丞「麻酔なんて無くても大丈夫でしょう。この傷を負って顔色一つ変えてないんですから。膿を出すぐらいどうって事ありません。」
そう言って菊之丞は傷口を素早く切り、中に溜まっていた膿と血を抜く。
銀時「っつ!」
綺麗に出し切ったところで、菊之丞は自らの着物の袖を破り、傷口をぎゅっと縛る。応急処置完了だ。少し痛みはあるが、先程の状態より大分楽になった。
菊之丞「これでひとまずは大丈夫。」
銀時「サンキュー。」
ホッと胸を撫で下ろす銀時。それを見て安心したように菊之丞も笑顔を返す。