第72章 誰もが心にラフテルを描いている。
その質問に答えたのは山崎だ。山崎は人差し指を立てて持ちうる知識を提供する。
山崎「天人の持ち込んだ医術だよ。攘夷戦争初期の頃に持ち込まれた医術で、当初は天人のもたらした医術には危険な思想が含まれてるかもしれないと懸念され、禁書とされてたんだ。」
その説明に、ほぅと唸る葵咲。だがそれを聞いて尚更きょとんとした表情で小首を傾げる。
葵咲「けどそれって開国前の話でしょう?今は取り締まられたりしてないよね?」
山崎「うん。禁書だった当時は捕まった人もいるけど、開国されてからは釈放されたはずだよ。」
菊之丞の年齢は恐らく葵咲達と同じくらいだろう。蘭学が持ち込まれたのが戦争初期なら、菊之丞が生まれる前の話である可能性が高い。持ち込まれてから暫くの間は禁書扱いだったとしても、それを学んでいる間に解禁となったのではないだろうか。そう見立てた葵咲と山崎には菊之丞の罪は見出せなかった。
だがそれに対して松島は首を横に振って捕捉する。
松島「ああ、そうだ。そこの地味な奴の言うとおりだ。」
山崎「地味な奴って。キャラ化されてないアンタに言われたくないんですけど。」
思わず素でツッコんでしまう山崎。正直イラッとした。そんな山崎の苛立ちには構わずに松島は続ける。
松島「確かに、蘭学を学んだだけの奴は開国と同時に釈放された。だがこいつの罪はそれだけではなかったからな。こいつは蘭学を元に新たな薬の製造に携わっていたのさ。この違法薬物、“リフレイン”の発案にな。」
「!?」
菊之丞は薬の販売者として利用されていただけだと思われていた。だが、薬の発案者だったという松島の告発に、一同は言葉を失ってしまうのだった。
- 次回予告 -
黒幕はまさかの菊之丞!?
騒然とする一同に菊之丞は?
そして銀時の命運やいかに…!
次回もお見逃しなく!