第72章 誰もが心にラフテルを描いている。
華音「僕、これでも一応海賊なんだ。」
銀時「海賊ごっこは家でやってろ。お子様がお遊びで来て良い場所じゃねーぞ、遊郭(ここ)は。お前のラフテルは家の本棚だ。」
大人しく家に帰ってONE PIE●Eでも読んでいろという銀時。あからさまな子ども扱いに華音はムッとする。
華音「君さぁ、さっきからホント失礼だよね。“ごっこ”じゃなくて、僕は宇宙海賊だ。それに、幼く見えるかもしれないけど君ら人間よりずっと長く生きてる。きっと僕の方が年上だよ?」
銀時「宇宙海賊!?…お前まさか、春雨か!?」
“宇宙海賊”というキーワードに目を見開く銀時。だがそれを聞いた華音は、更に不機嫌そうに眉根を寄せた。
華音「あんな蛮族と一緒にしないでよ。奴らは力で解決しようとするだろ?今時古いんだよ。僕達は余計な争いは望まない。今の時代、重要なのは潤滑に進められるビジネスさ。」
先程の不機嫌顔から一変し、自分の組織を語る華音の表情は至極満悦の様子。自ら所属する組織を心底誇りに思っているのだろう。
そんな華音とは裏腹に、今度は銀時が不機嫌そうな表情になる。銀時は益々不信感を募らせていた。
銀時「そのビジネスが薬物バラ撒く事だってのか?」
華音「それはほんの一端にすぎない。僕が提案したのは、僕らの組織が頂点になるネットワークビジネス。分かりやすく説明すると紹介制の販売だよ。このビジネスがこの地球に大きく浸透して、下っ端の子鼠どもが走り回ってくれさえすれば僕達は何もしなくても儲けられる。ね?良いアイディアでしょ?」
銀時「ただのねずみ講じゃねぇか。」
聞いて呆れる。そう言わんばかりに銀時は頭をガシガシと掻いた。華音は今度は怒るではなく、分かって貰う事を諦めたようにため息を漏らし、視線を逸らして両手を上げた。
華音「その言い方は心外だなぁ。ま、頭の悪そうな君には理解出来ないか。」
理解するつもりもない。銀時は華音にこれ以上悦に入って語られても困ると思い、ビジネスについてはそれ以上は触れず、質問を変えた。
銀時「資金調達した後はどうするつもりだ?」
華音「さぁ。そこまでは僕もまだ知らないよ。それを決めるのは総長と副総長だから。じゃあね。」