第7章 上司が原因のパワハラは上司に相談出来ない。
仕事も終わり、手の空いてしまった葵咲は、土方の言葉を素直に受け取り、散歩に出掛ける事にした。行く宛てもなく、ただぼーっと歩いていると大江戸公園に来ていた。公園で一休みがてらブランコに座っていると、誰かに声を掛けられた。
銀時「よォ。」
顔を上げて声のする方を向くと、そこにはジュースを二本手に持った銀時が立っていた。
葵咲「あっ、万事屋さん。」
銀時「最近どうだ?仕事の負担は減ったか?」
そう言いながら銀時は、手に持っていたジュースの一本を葵咲に差し出し、自分は隣のブランコへと腰掛けて、もう一本のジュースを飲み出す。銀時の飲んでいるジュースは勿論いちごミルクだ。葵咲に渡されたジュースの中身はヤクルトだった。正確にはヤクルト風味のジュースで、ホットのペットボトルタイプのものである。ジュースを受け取った葵咲はお礼を言いながら笑顔で答えた。
葵咲「あはは。逆に暇になっちゃいました。」
銀時「いいんじゃねぇの?楽して金が入んだから。」
葵咲「でも・・・・。」
銀時「?」
葵咲「あ、いえ…。」
葵咲は何かを言おうとしたが、少し考えて口を噤んだ。その様子を見た銀時は、葵咲の内心を読み取ったかのように助言した。
銀時「現実っつーのは、自分が思ってるよりも簡単なもんだ。もし何か、お前に抱えてるもんがあるなら思い切ってあいつらに話してみたらどうだ?案外、すんなり受け入れてもらえるかもしれねぇよ?」
葵咲「…それは・・・。」
銀時「あんま悩みすぎんな。」
そう言って銀時は葵咲の頭をポンポンっと軽く叩いた。
葵咲「・・・・・。」
銀時「ま、あいつらが無理でも俺はいつでもお前の全てを受け入れてやるからよ。」
葵咲「!」
銀時「困ったらまたいつでも俺んトコ来い。」
葵咲「…有難うございます。」
笑顔で答える葵咲を見ると、銀時は立ち上がり、その場を立ち去っていった。