第71章 他人の願いを優先するのは難しい。
葵咲「銀ちゃんが悪いんじゃん。あんな投げ方するから。」
銀時「なに人のせいにしてんの!?助けに来てやったんだろーが!」
葵咲「そもそもコレ、誰の刀よ?」
そう言って手に持っていた刀を銀時の前に出す葵咲。銀時は片眉を上げて、チラリと刀を一瞥して言った。
銀時「知らねーよ、さっき倒した奴のを拾ってきたんだよ。」
葵咲「なんで私の刀じゃないのよ。やっぱ銀ちゃんが悪いよ。使いにくいから峰打ち失敗したんじゃん。」
銀時「知るかァァァァァ!!お前の刀屯所だろ!んなもんマヨネーズにでも持ってきてもらえ!!」
あまりの責任転嫁と蔑まれように とうとうキレる銀時。恩知らずとはまさにこの事だろう。そして葵咲の責任転嫁は止まる事を知らずに暴走する。
葵咲「副長は忙しいんだよ。それに私の刀は逆刃刀(さかばとう)だからね。斬らず殺さずが拙者のモットーでござる。」
銀時「嘘つけェェェェェ!!オメーの刀は普通の刀だろーが!なんで台詞の最後 剣心みてーになってんの!?すげー腹立つんだけど!…つーか今このネタやって大丈夫なの?」
諸々の事情で休載中のるろ剣に気遣う銀時であった。あまりの酷い言われように銀時は助けに来た事はやっぱり無かった事にしてこのまま帰ろうかと思った。そんな思いで頬を膨らませていると、葵咲はフッと笑みを漏らした。
葵咲「来てくれて助かったよ。有難う。」
銀時「けっ、最初から素直にそう言えってんだ。」
素直に面と向かって言われたら言われたで照れるもの。銀時は頬を少し染め、鼻を人差し指ですすりながら照れ隠しで視線を逸らした。
傍にいた獅童はあっけに取られたように、ぼーっと二人を見つめていた。そしてふと葵咲の右手へと目が留まる。葵咲の右手親指の付け根には古傷があった。獅童は牢内で葵咲が言った台詞を思い出す。
葵咲『左手に刀を使う者特有の傷があったので。』
獅童「! その手の傷…。」