第69章 嫌な現実からは目を背けたくなるもの。
一方、吉原から出た松島は吉原管轄の奉行所、鳥居のもとへと訪れていた。
鳥居「お主の遊郭で薬物を売買をしている不貞な輩がいると?」
松島「ええ。是非とも鳥居殿のお力を貸して頂きたく…。」
鳥居「ふむ。確かにそれは見過ごせんな。いくら不法の町とはいえ、それはいかん。」
松島「宜しくお願い致しますよ。ククク。」
二人の会話は作られたもののように聞こえる。
示し合わせたようなその台詞を、影で聞いている男がいた。
山崎「これはマズイぞ…!!」
山崎は土方の指示で松島を張るように言われていたのだ。勿論、吉原から出たこの時も尾行していた。
二人の会話を聞いた山崎は、慌てて屯所へと戻った。