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銀魂 - 雪月花 -

第69章 嫌な現実からは目を背けたくなるもの。


男性の顔面をグーで殴る女。獅童の中の葵咲の可愛らしいイメージは一瞬で払拭された。
葵咲は手にしていたキリで天井に穴を開ける。そしてその穴から部屋の中を覗き込んだ。


葵咲「んー…よく見えないな…。もうちょっとこっちかな。」


そう言って別の場所に穴を開けてみる。だがそこからもよく見えなかった。


葵咲「やっぱこっちかな。…いや、こっち…」


次々と穴を開けていく葵咲。それを隣で見ていた獅童は痺れを切らしてツッコんだ。


獅童「…って穴空けすぎだろォォォ!!天井が蜂の巣みてぇになってんじゃねぇかァァァァァ!!」


言われてハッとなる葵咲。数十箇所も穴を開けていた。流石にこれはマズイ。部屋からも見上げれば気付かれるレベルだ。
葵咲は冷や汗を垂らしながら開けた穴を紹介するようにサッと手のひら全体で指差して誤魔化そうとする。


葵咲「さ、殺風景な天井にデザインを施してみました…。」

獅童「嘘吐けェェェ!明らかに空ける位置失敗してただろーが!」

葵咲「芸術は、風穴だ!」

獅童「デイダラみてぇに言ってんじゃねーよ!」


ガタガタギャーギャーと騒いでいると、天井がミシミシと音を立て始めた。どうやら穴を開けすぎた事により、二人の体重を支えられなくなったようだ。
ガラガラガラァァ!
とうとう天井が抜け、二人は部屋の中に落ちた。


獅童「…いってぇ。おい、大丈夫か?」


打ち付けた頭を摩りながら獅童は葵咲に目を向けた。葵咲は尻餅をついたようだが、特に怪我をしている様子はなかった。そして眉根を寄せて文句を垂れる。


葵咲「この廊、シロアリでもいるんじゃないですか?ちゃんと駆除しないから天井が…。」

獅童「アンタの仕業ァァァァァ!!」


まさかのシロアリへの責任転嫁に獅童は思わずツッコむ。そのツッコミを無視して葵咲はドヤ顔を見せた。


葵咲「とにかく、うまく潜入出来ましたね。」

獅童「全然うまくねぇだろ!」


そのツッコミすらも無視し、葵咲は眉間に皺を寄せて口元に人差し指を立てる。


葵咲「シッ。ほら、騒いでると見つかっちゃいますよ。」

獅童「天井落ちた音の方がヤバそうだけど!?」


二人は気を取り直し、部屋の中の探索に取り掛かった。
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