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銀魂 - 雪月花 -

第69章 嫌な現実からは目を背けたくなるもの。


そして二人は天井裏へ。


葵咲「松島さんの部屋はどちらですか?」


方向が分からない葵咲は獅童に尋ねる。獅童は右手人差し指をこめかみの辺りに当てて目を瞑る。自分の部屋の位置と松島の部屋の位置を頭の中でイメージして方向を見定めた。


獅童「こっちだ。」


匍匐(ほふく)前進もせず、屈む事さえなく普通に歩く二人。その事について葵咲はボソリと呟いた。


葵咲「それにしても…おかしな天井裏ですね。」

獅童「…確かに大の大人の男が歩ける高さってのは妙だな。天井裏っつーより中二階って感じだぜ。」

葵咲「・・・・・。」


どうやら獅童も同じ疑問を抱いていたようだ。獅童の中で意識に変化が生まれ始めている。最初は華月楼や松島を真っ向から信じていた獅童だったが、この天井裏を知って疑念が生まれ始めているのだ。
それは獅童の複雑な表情を見れば分かった。それに気付いた葵咲だが、特に声を掛ける事なく、獅童の横顔をただじっと見つめた。そして松島の部屋の真上へと到達する。


獅童「ちょうどこの真下だ。」


二人はその場にしゃがみ込み、天井裏に耳を当てて様子を窺う。特に話し声や物音は聞こえない。誰もいないのだろか?
葵咲は少し考え、懐からキリを取り出した。


葵咲「穴を開けて中の様子を見ましょうか。」

獅童「キリ?やけに用意周到だな。」


流石潜入捜査で乗り込んで来ているだけある、等と獅童は感心した。そしてふと普段の葵咲の事が気になった。


獅童「そういやアンタ、普段はどんな仕事してるんだ?交通整理とかの婦人警官?」

葵咲「さぁ、どうでしょう。」


獅童の中での葵咲は可愛らしいイメージ。実際は婦人警官とは程遠い所属にいるわけだが、勿論本当の事を言うわけにもいかないので、適当に言葉を濁す。
そんな葵咲の回答を聞いていない様子の獅童は、一人妄想を膨らませてニヤけていた。


獅童「ミニスカポリスのコスプレとかもアリだな。あ、そうだ。なぁ、次来る時は制服持って来いよ。そういうプレイで…」


ドガッ!
話途中で葵咲の鉄拳が獅童を襲う。顔面をグーで殴りつけた。


葵咲「殴りますよ。」

獅童「痛ぇーな!もう殴ってんじゃねーか!!」
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