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銀魂 - 雪月花 -

第68章 相談する事は信頼の証。


どうやら昨日話してくれた件は、あくまで“葵咲に手を出さない”という件に関しての条件にすぎないらしい。
内心獅童は葵咲に手を出す気満々なのだ。だからこそ簡単にはクリア出来ない条件を突き出している。クリアされてしまえば葵咲に手を出せなくなってしまうから。潜入捜査を他言しない条件は別にあるらしい。

だが葵咲はその事には気付いておらず、ただムッとした顔を浮かべている。それは自分が低く見られているからだ。真選組という立場を隠してはいるが、そんな風に小バカにされると腹が立つ。自分の所属を言うに言えないこの状況を悔しく思った。

葵咲が言葉を飲み込んでぐっと堪えていると、獅童が真剣な顔付きで話を続ける。


獅童「アンタ、百華の女と知り合いだったな?」

葵咲「月詠さん?月詠さんは友達だけど…。」

獅童「華月楼内の調査をそいつに頼んでもらえねぇか?」

葵咲「調査?」


獅童の瞳は冗談を言っている目ではなかった。その事を察した葵咲も真剣に答える。
百華とはご存知のとおり、吉原を取り締まってる自警団。その頭である月詠への調査依頼とは一体…?
葵咲がきょとんと小首を傾げていると獅童が続けた。


獅童「吉原自警団の頭だったら華月楼に抜き打ちで立ち入り調査しても不自然じゃねぇだろ。」

葵咲「放火の件ですか?」


獅童は菊之丞を憎んでいる。アテにならない奉行所関係者の自分ではなく自警団に依頼し、何とか証拠を探し出して華月楼から追い出そうという事だろうか。そう予想して尋ねるが、獅童は首を横に振る。


獅童「いや、菊之丞の件は流石に分からねぇだろ。それとは別の話になるが…案外別物でもないんじゃねぇかと俺は思ってる。」

葵咲「?」


話の筋が読めない。葵咲は眉根を寄せ、息を飲む。獅童は少しの間を置き、ゴクリと唾を飲み込んでから小声で話し始めた。


獅童「…華月楼内で何かヤバイもんが回ってるらしい。もしかしたら、そいつが菊之丞と鳥居がここに来た理由なんじゃねぇかと思ってな。」

葵咲「!」
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