第67章 どんな薬にも必ず副作用がある。
獅童「…俺は元々は芝居小屋の絵師だったんだ。師匠のもとで自分の道ってもんを見出せそうな、そんな時だった。俺のいた芝居小屋が・・・・放火されたんだ。」
葵咲「えっ!?」
思わぬ衝撃の告白に葵咲は言葉を失ってしまう。そんな葵咲には構わずに獅童は続けた。
獅童「明らかに放火だった。だが、奉行所の奴らは犯人を探す事もなく、単なる火事で片付けやがった。」
葵咲「っ!」
ギリリと歯噛みする獅童。そんな獅童の様子を見て葵咲は冷や汗を垂らす。何とも言えない表情を浮かべている葵咲に気付き、獅童は一度真顔に戻る。
獅童「・・・・・。お前の考えてる事、当ててやろうか?潜入捜査でここに来てるお前は奉行所関係者だな。自分もその恨みの対象になるんじゃ…ってところか?」
葵咲「えっ!?あ、いや、その…!」
ドンピシャの図星だった。
そもそも冷や汗を垂らしている事に気付かれているとも思っていなかった。葵咲の心臓は跳ねるようにドキリと鳴る。口ごもる葵咲を見て獅童はいつものツッコミを入れた。
獅童「相変わらず分かりやすいな!」
バツの悪そうな顔を浮かべる葵咲に対し、獅童はハァとため息を吐いて頭をくしゃっと掻く。そして葵咲を安心させるように言った。
獅童「心配すんな。確かに奉行所のヤツぁ好きじゃねーけど、肩書きだけで判断しやしねーよ。全員が全員そんなヤツだと決め付ける程、俺も子どもじゃねぇ。」
獅童の言葉に内心ホッと胸を撫で下ろす葵咲。いつもの平常心を取り戻して礼を述べる
葵咲「有難うございます。もしかして、その奉行所関係者が菊之丞さん?」
獅童「…違う。放火犯の方だ。」
葵咲「!?」
衝撃の事実に、葵咲はまたもや言葉を失ってしまった…。
- 次回予告 -
衝撃の事実発覚!
獅童の口から語られる事実とは…?
事実を受け止めた葵咲は、また一人で抱え込んでしまうのか?
お楽しみにー☆