第67章 どんな薬にも必ず副作用がある。
暫く睨んでみるも葵咲は折れない。頑なに無視を決め込む葵咲に獅童が折れる。獅童は葵咲からの質問に答えた。
獅童「俺ァ確かに女は好きだ。けどババァや醜女と毎日ヤっても楽しくも何ともねぇんだよ。」
葵咲「じゃあ尚更、私としない方が良いじゃないですか。」
怪訝な顔を浮かべて小首を傾げる葵咲。自分の顔面偏差値を低く見積もっている葵咲としては疑問以外の何者でもない。だがその質問に対して今度は獅童が片眉を上げた。
獅童「あ?アンタ別嬪じゃねぇか。」
葵咲「エエェェエェェ!!??」
おだて文句等ではない、ナンバーワン花魁からの褒め言葉に、葵咲は身体を仰け反らせて驚く。その事に逆に獅童が驚かされた。
獅童「いや驚きすぎだろォォォ!!どんだけ自分を過小評価してんだよ!大丈夫だから!アンタ十分別嬪だから!『諦めないで』って何で俺 真矢●き!?」
その返答には正直納得のいっていない葵咲だったが、これ以上この話を引っ張っても仕方がない。自分の容姿の件は一先ず置いておいて、話の筋を戻した。
葵咲「でも…したくもないのに、何故こんな仕事してるんですか?何故そんなに菊之丞さんに?」
固執しているのか。単なる“トップを争うライバル”という存在のようには思えなかった。葵咲からの質問を受け、獅童はきゅっと唇を噛んだ。
獅童「あいつだけは絶対に許せねぇんだよ。」
葵咲「何かあったんですか?」
獅童「・・・・・。」
深刻な顔をして黙り込んでしまう獅童。それを見た葵咲は自分が立ち入ってはならない領域なのだと思った。慌てて両手を振って先程の発言を撤回しようとする。
葵咲「あ、ごめんなさい。言いたくない事は言わなくて…」
そこまで発言したところで、その言葉を遮るように獅童は静かに口を開いた。葵咲の言葉が届いていなかったわけではない。獅童は眉根を寄せて語り始めた。