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銀魂 - 雪月花 -

第67章 どんな薬にも必ず副作用がある。


土方「…まぁ、脅されてるっつー事実が発覚すれば情状酌量の余地はあるかもな。」

葵咲「本当!?」


ぱっと一瞬で表情を明るくする葵咲。その顔を見て土方は内心安堵する。葵咲は今潜入捜査を行なっている身だ。板ばさみ状態になれば心が壊れてしまうかもしれない。その可能性を少しでも取り除けた事が何よりだと思った。
土方は葵咲の目を見据えながら静かに頷く。そして土方は再び煙草を咥え、火を点けながら注意を促す。


土方「だがその事実を明らかにするには注意が必要だぞ。このままいきゃあ、その首謀者の男は全ての罪を菊之丞に擦り付け、自分だけ逃げるだろうよ。」

葵咲「菊之丞さんが勝手にやった形になるって事?」

土方「ああ。そうなりゃ菊之丞の処罰は確実だ。」

葵咲「!!」


土方の言っている事は容易に想像出来る。いや、もし今回の主犯であろう中年の男が筋金入りの悪党であるなら、その為に菊之丞を利用している可能性は大である。なんなら、トカゲの尻尾切りに利用する為に菊之丞を使っているセンが濃厚だ。その可能性を理解した葵咲はきゅっと下唇を噛んだ。


葵咲「そんな事、絶対に許せない…!」

土方「ああ。それは俺も避けてぇ。一番裁かれなきゃならねぇ奴に逃げられるなんざ癪だからな。」


ただ単に“悔しい”という気持ちだけではない。そうなってしまった場合は再犯が懸念される。菊之丞のような立場の人間はいくらでも替えがきくのだ。菊之丞が捕まったところで事件が解決とはならず、ほとぼりが冷めた頃に別の場所で同じ事件が発生するだろう。それを考えた土方は険しい顔付きで煙草の煙を吐き出した。
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