第66章 男心を掴みたいならまずは胃袋を掴め。
獅童「なんでだァァァァァ!!お前の方が叶える望み多くなってんじゃねーか!全然公平じゃねーだろ!それになんだその態度と口調!すげー腹立つんだけど!!」
盛大なツッコミをされても葵咲の態度は変わらない。葵咲は駄々をこねるように口を尖らせる。
葵咲「獅童さん、ランプの魔人的な存在になって下さいよ~。」
獅童「なんで俺が!?立場逆ゥゥゥ!!」
引き続きツッコミを入れた獅童だったが、ふと何かを考えるように呟く。
獅童「…ランプの魔人・・・・。」
葵咲「? 獅童さん?」
急に大人しくなる獅童を見て、葵咲は目を瞬かせる。獅童の顔を覗きこんで声を掛けた。獅童はなおも考え込むような様子のまま、葵咲へと言葉を投げ掛ける。
獅童「お前さ、ランプの魔人ジーニーの最後の…」
話途中で部屋の襖がガッと開けられた。
菊之丞「そこで何をしているのですか?」
葵咲「!」
そこにいたのは菊之丞だった。菊之丞は部屋の中に居た葵咲と獅童の姿を見て目を丸くする。
菊之丞「葵咲さん!?」
葵咲「菊之丞さん…!」
先程この場を通り過ぎたはずの菊之丞。そんな彼の姿を見て葵咲もまた目を丸くした。菊之丞は誰もいないはずの空き部屋から声が聞こえ、様子を見に来たのだった。
菊之丞は葵咲と一緒にいる獅童の姿を視界に入れるや否や、獅童を睨みつける。
菊之丞「…獅童!貴方また…!そちらは私の客人と言ったはずですが。」
葵咲「あ、いえ、今日は…」
前回の事もあり、菊之丞は獅童がまた葵咲にちょっかいを掛けていると思ったのだ。今回は以前のそれとは違うのだが、『危ないところを助けてもらった。』などと言えるはずも無い。葵咲が口ごもっていると、獅童は手をひらひらと振りながら部屋から出て行く。
獅童「ま、今日のところは引いてやるよ。」
葵咲「ちょ、獅童さん!?」