第65章 『お客様は神様』って台詞は店側が言う台詞。
大きな誤解を招いた。空気の読める女、月詠は葵咲と山崎がお忍びで吉原の宿にしけこもうとしていると勘違いしたらしい。その勘違いに気付いた山崎は全否定する。変な噂が流れでもしたら土方や総悟に殺される。潜入捜査を知っている土方はまだしも、総悟は捜査の事自体知らないのだ。知られれば命は無い。山崎が弁解しようとしていると、その背後から殺気が。
「ほぉ…テメェいい度胸してんじゃねぇか…。」
冷や汗を垂らしながら、山崎はバッと振り返る。そこにいたのは銀時だった。
山崎「万事屋の旦那!?」
銀時は日輪からおつかいを頼まれ、たまたま吉原へと訪れていた。葵咲が路地裏へと歩いていく姿を見つけたのも銀時。その後すぐに山崎も路地裏に入っていくのを見て、銀時と月詠が後を追いかけたのだった。
銀時「こんな場所で葵咲に手ぇ出そうとするたァ…、テメー覚悟は出来てんだろうなァァァ!!」
激怒する銀時は山崎の胸倉を掴む。身の危機を感じた山崎は軽いパニック状態だ。
山崎「副長達の前に旦那だったァァァァァ!!誤解ですってば!仕事ですよ!華月楼への潜入捜査ですゥゥゥ!!」
葵咲「退君がバラしちゃってんじゃんんん!!」
山崎が馬鹿だった。己の身可愛さに部外者にあっさり暴露。これには葵咲もため息を吐くしかない。銀時は聞きなれぬ言葉を聞き返す。
銀時「カゲツロウ?」
その質問に答えたのは月詠だった。
月詠「新しく出来た女の為の遊郭じゃな。華月楼は女が男を買う店。最近の肉食女子の為の遊郭じゃ。当初の目的は吉原の遊女達を癒す為に建てられた店じゃったが、評判が評判を呼んで、一般客も来るようになったんじゃ。」