第65章 『お客様は神様』って台詞は店側が言う台詞。
菊之丞「さ、終わりましたよ。」
葵咲「有難うございます。」
薬の壷をしまう為に菊之丞は立ち上がる。その時立ちくらみでもしたのか、菊之丞はふらつき、倒れそうになる。葵咲は慌てて立ち上がって菊之丞を支えた。
葵咲「大丈夫ですか?」
菊之丞「ええ、大した事ありません。最近あまり食べていなかっただけです。」
葵咲「体調崩してらっしゃるんですか?」
菊之丞「いえ、ただ食が進まないだけです。」
色白で華奢な菊之丞。食も細いのだろうと思うが、葵咲はそんな彼に注意を促す。
葵咲「駄目ですよ、きちんと食べて栄養取らないと。」
菊之丞「…ここの食事は合わなくて、ね。」
その言葉に少し考えるように黙る葵咲。薬の壷をしまった後は少し他愛無い話をしてから華月楼を出た。