第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
潜入捜査二日目。
葵咲は華月楼へと足を向ける。そして葵咲から遠からず近からずの後ろを歩くのは勿論この二人だ。
土方「・・・・・。」
山崎「副長、今日もストーカー行為ですか?」
土方「アホか。どっかの近藤(バカ)と一緒にすんじゃねーよ。」
右手を口元に当て、ニヤニヤしながら土方の顔を覗きこむ山崎。それに対する土方は眉根を寄せながら煙草に火を点けた。
だが苛立った様子を見せたのは最初だけで、すぐさま真剣な顔付きへと変えて前を見据えた。
土方「昨日は見つけられなかったからな。」
山崎「!」
あの後二人は不自然な天井裏を調査してみたのだが、華月楼は広く、昨日は特に収穫ナシで終わってしまったのだ。だがきっとあの中二階の何処かに薬物が隠されているはず、それが土方の見解だった。
山崎「確かに…あの場所は怪しかったですね。」
土方「証拠の品さえ出りゃ…。」
『さっさと事件を終わらせられる。』そう言おうとした土方だったが、何かに気付き、山崎の腕をぐいっと引いて脇道へと姿を隠した。
土方「! 来い!」
山崎「副長?」