第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
葵咲に洗礼を加えた女達は至極満足した顔付きで笑いながら吉原内を歩く。
「これであの女は大丈夫でしょう。」
「先程の顔、傑作でしたわね。ホホホ。」
その時、女達の前に菊之丞が現れた。女達は心底菊之丞に惚れ込んでいるのだろう。彼の姿を見るや否や、高揚した様子で今以上の笑顔を見せて傍へと駆け寄った。
「菊之丞様!」
菊之丞「奇遇ですね。こんな所で会うなんて。」
そんな彼女達ににっこりと笑顔を向ける菊之丞。その態度にさらに満悦の女達。菊之丞の袖に触れながら上目遣いで艶っぽい声を掛ける。
「そうですわね、菊之丞様はお散歩ですか?」
菊之丞「ええ。私の客にちょっかいをかける輩に制裁を加える為にね。」
「!?」
その言葉を聞いて一気に青ざめる女達。突き刺さるような菊之丞の言葉が何を指しているのか気付いたからだ。
女達が言葉を詰まらせていると、菊之丞は先程のにっこり笑顔から冷たい表情へと変えて突き放すような言葉を放った。
菊之丞「またあのような真似をしたら許しませんよ。それから、もう二度と私の前に現れないで下さい。」