第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
普段の鬱憤を晴らそうとでもしているのか、山崎の土方いじりは続いた。
山崎「分かりませんよ?近付くうちに情が移って副長から菊之丞に乗り換える事もあるかも。」
土方「んな事あるわけねぇだろ。つーか乗り換えるって何だよ!俺のモンじゃねぇんだけどォォォ!?」
山崎「じゃあ早く自分のモノにしたらどうですか?」
土方「くだらねぇ事言ってんじゃねぇ!!」
とうとう山崎のいじりに耐え切れず、立ち上がって怒号する土方。だがここで、ふとその場の違和感を感じた。
土方「…ん?」
山崎「どうしたんですか?」
急に真剣な表情へと戻る土方を目の前にし、山崎も真顔に戻る。山崎は天井裏に這いつくばったまま、立ち上がった土方の顔を見上げた。
土方「ここ、天井裏だよな?」
山崎「ええ。」
今に始まった事じゃない、何を言ってるんだ。怒りでとうとうおかしくなったのかと思ってしまった。だが土方は至って冷静な顔つきで山崎を見下ろす。
土方「天井裏ってこんなに広いもんか?」
山崎「!」
言われてみれば確かにおかしい。土方の身長は178cm。長身の男が立って頭をぶつけない高さの天井裏はなかなかないだろう。最上階の部屋の上、屋根裏のような場所なら分からなくもないが、ここは一階と二階の間だ。その広さ、高さは不自然極まりなかった。土方は辺りを見回しながら唸るように声を出した。
土方「…少し調べてみるか。」
二人が天井裏の違和感を探ろうとしている時、葵咲達の近くで不審な影が…。
「何?あの女…。初見でしょう?」
「初見で菊之丞様とあんな親しげに…!!」
「ちょっと制裁が必要みたいね。」
どうやら菊之丞の常客、もしくはファンのようである。その場にいた女は三人、葵咲を睨みつけていた。