第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
そして箒を借り、柄のところに先程の紙をくくり付けて天井を突き破る。
土方・山崎「ぬうぉォォォ!!」
箒の柄はちょうど土方と山崎の足元を突き破って出てきた。柄に紙がくくりつけられている事に気付いた山崎は紙をさっと受け取る。
獅童「おいィィィ!何やってんだァァァァァ!!」
葵咲「すみません、鼠がうるさかったので。」
そう言って葵咲は笑顔で箒を獅童に返した。一方、山崎達は紙を広げて書かれているメッセージを読む。
『捜査の邪魔するなら帰れェェェェェ!!(^▽^)/』
土方・山崎「・・・・・。」
最後の顔文字が笑顔で逆に怖い。二人は少し大人しくする事を心の中で誓った。現在の状況が腑に落ちていない獅童だったが、ひとまずそれはさておき、再び葵咲へと迫る。葵咲に顔を近付け、妖艶な声色で囁く。
獅童「で?どうだ?俺の常客になるってのは。勿論“お前の目的”も叶えてやるし、それ以上の事もたっぷり教えてやるよ。身体でな。」
葵咲「いえ、私は…」
どうやって断ろうかと葵咲が考えを巡らせていると、部屋の扉がガラッと開いた。
菊之丞「その方は私の客です。離れなさい。」
そこに立っていたのは先程別れたばかりの菊之丞だった。接客を早々に切り上げて慌ててこの場へ訪れたのだろう。菊之丞は少し息切れをしていた。
そんな彼の姿を見てあからさまに機嫌を悪くする獅童。獅童は葵咲の傍を離れ、腰に手を当てて菊之丞の前に立つ。
獅童「おい。なに人の部屋に許可なく勝手に入りこんでやがんだ。」
菊之丞「人の客を強引に自室へ連れ込む貴方に言われたくありません。」
獅童「んだと…!!」
菊之丞は、胸倉を掴み掛かろうとする獅童をするりと交わし、さっと葵咲の腕を掴んだ。
菊之丞「来なさい。」
葵咲「あっ。」
獅童「おい!待てよ!!」
そのまま葵咲の手を引いて、さっさと獅童の部屋から出る。獅童は部屋から顔を出して二人の背を目で追うも、小走りで出て行ってしまった二人はもう遠くまで離れてしまっていた為、舌打ちをしながらも、追いかけるのをやめた。
獅童「…チィ。」