第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
獅童「ま、いいや。ババァや醜女抱くのにも飽きてきたところだ。アンタみたいな器量良しなら毎日でも大歓迎。なぁ、俺の常客になれよ?」
ゴンッ!
獅童が葵咲の肩を抱こうとしたその瞬間、天井から獅童の頭上に手錠が落ちてきた。正確には獅童目掛けて“投げ付けられた”。
土方「あんの野郎ォ!淫行の容疑で今すぐしょっ引いて…!!」
山崎「副長!駄目ですってば!!」
ゴトゴトゴトッ。
手錠を投げ付ける際に外されていた天井はすぐさま山崎がはめて戻したが、その瞬間を葵咲はしっかりと見ていた。
葵咲「・・・・・。」
姿までは見えなかったが、間違いなく土方と山崎だと察しがつく。葵咲は二人が遊郭内まで着いて来ている事を知って苛立った。
獅童「ってぇ…。何が落ちて…。」
突如頭部に鈍い痛みが走った獅童は頭を摩りながら落ちてきた物へと目を向ける。
獅童「・・・・?」
なんで天井から手錠が。そうツッコもうとした獅童より先に、それを誤魔化す為に葵咲が慌てて言葉を挟んだ。
葵咲「やだぁ、獅童さん!天井に手錠隠してるなんてぇ!変態プレイがお好きなんです?私には無理~。」
獅童「いや俺のじゃねぇよ。それよりアンタさっき男と喋るの慣れてないとか言ってなかった?なんでそんなマニアックなプレイ知ってんの。」
葵咲「あらやだ、じゃあ天井裏のネズミさんがそんなプレイに勤しんでるのかしら~。」
獅童「ネズミそんなプレイ出来ねーだろ。つーか俺の質問は無視か。」
誤魔化せているのかは微妙だが、とりあえずそれ以上ツッコませない為にも、葵咲は全く別の話を切り出す。
葵咲「そんな事より獅童さん、紙と筆あります?あと長い棒も。」
獅童「あ?紙と筆はそこに。棒なら俺のこのICBMが…」
聞かれて獅童は机の上を指差した後、笑顔で自らの股間を指差す。
葵咲「それ、箒くらいの長さあるんですか?」
獅童「・・・・・。」
汚いものを見るような冷ややかな視線を送られ、とうとう獅童の心は打ち砕かれた。葵咲は獅童から紙と筆を受け取り、机を借りてサラサラと文字をしたためる。
獅童「おい?」
獅童が葵咲の手元を覗き込もうとするより先に、さっと紙を折りたたむ。獅童の頭には疑問符が浮かんでいるが、それを葵咲は笑顔で返す。
葵咲「ちょっと失礼。」