第7章 上司が原因のパワハラは上司に相談出来ない。
近藤「医者?なんで医者なんて呼んだんだ?」
土方「一応産業医面談でもしておこうと思ってな。労基に引っかかるとマズイだろ。」
最近の労働基準監督署は厳しい。公務員が事務職員に徹夜で残業を強いていたと知られれば大問題だ。土方は従業員の心身を気遣う意味でも産業医面談を行なうことにしたのだった。
医師「はーい。コンニチハ。医師の田坂です。こっちは私の助手と看護士です。宜しく頼む。」
助手「宜しくお願いします。」
看護師「宜しくアル。」
何処かで見たことのある身なりの三人だ。自らを医師と名乗る男は、土方と同じくらいの身長で、編み笠を被り、顔を包帯でぐるぐる巻きにして、服装は陰陽師のような格好だ。助手は医師の男よりも身長は低く、鼻眼鏡をかけたような顔立ちに、尼さんのような服装をしている。そして看護士については、もはや看護師の出で立ちではない。丸いメガネをかけ、服装だけでなく帽子までガッツリチャイナ服だ。身長は三人の中で一番低い。
土方「・・・・・。おい。コイツら…。」
三人を見て、思い出したくもない記憶を蘇らせる土方。そう、この屯所内を騒がせた赤い着物の女が現れた事件だ。土方としては忘れたくても忘れられるはずがない。当初は幽霊だと思い、相当ビビらされたのだから。この三人は、その時に訪れた三人組の自称拝み屋と同じ出で立ちなのだった。
田坂「で?どの方の面談で?」
葵咲「あ。私みたいです。」
聞かれた葵咲は、挙手する。
土方「おい。ちょっと待て。コイツら…。」
土方が医師達の正体について口を挟もうとするが、誰も土方の話を聞かず、話はどんどん勝手に進んでいく。