第64章 面接の受け答えは準備しすぎると失敗する。
二人は葵咲達の後を追い、天井裏を徘徊してなんとか獅童の部屋の上へと辿り着いたのだった。
そして土方達の心のツッコミを獅童が受け継いだように声に出してツッコむ。
獅童「それならホストにでも行きゃいいだろ!」
葵咲「ホストはお酒飲むじゃないですか。お酒飲みたくないんです。」
獅童「それで遊郭来んのおかしくね!?ホスト行って酒飲まねぇより、遊郭来てヤらねぇ方がおかしくね!?」
独自の自論を展開して言葉を返す葵咲に対し、最もなツッコミを入れ続ける獅童。その返しに逃げ場を失った葵咲は畳をバン!と叩きながら強行突破しようと試みた。
葵咲「あーもううるさいな!私の勝手でしょォォォ!?」
獅童「逆ギレェェェ!?つか、アンタの器量ならわざわざ高い金払って遊郭なんざ来なくても歌舞伎町でも歩いてりゃいくらでも男に話し掛けられんだろ。」
葵咲の上から下まで全身を眺めながら彼女を評価する獅童。獅童は葵咲のルックス全体を高評価しているようだ。そんな獅童の評価は耳に届いていないのか、言葉の最後のところに対してだけ葵咲は言葉を返す。
葵咲「まぁ話し掛けられる事もありますけど、もれなくネックレスとか指輪とか買わされるじゃないですか…。そっちの方が高くつくかなって。」
獅童「それキャッチセールスぅぅぅぅぅ!!俺が言いてぇのそれじゃねぇ!!」
二人の会話を聞きながら、思わずボソリと小声で山崎がツッコミを入れてしまう。
山崎「葵咲ちゃん、キャッチに引っ掛かった事あるんですか。」
土方「ああ。商人は俺がその場でしょっ引いてやったがな。」
山崎「えっ、その時も葵咲ちゃんの後を追いかけてたんですか?」
まさかそんな返しがくるとは思っていなかった山崎。捕まえたとしても後日の事だと思っていたのだが、まさかの現行犯逮捕に思わず土方へと顔を向ける。そんな山崎に、土方は慌てた様子で言葉を紡ぐ。
土方「たまたま見かけたんだよ、たまたま。」
山崎「ストーカー(局長)と変わらんじゃないですか。」
土方「たまたまだっつってんだろうがァァァァァ!!」
土方達が天井裏でそんなやり取りをしている間に、獅童は再び葵咲の側へとにじり寄っていた。獅童は葵咲の隣に腰を下ろし、彼女の顔を覗きこみながら耳元で囁きかける。