第63章 草食系男子だって中身は獣。
その頃、華月楼内の奥の部屋から一人の花魁と客の女が出てきた。
「獅童ぉ~♡今日も良かったよぉ♡」
獅童「俺も♡大門まで送るわ。」
もう一人の華月楼ナンバーワン、獅童だ。
獅童は綺麗な赤い着物に身を包み、煙管を吹かしている。客の女は獅童の胸元に手を当て、寄り添いながら歩く。獅童も女の腰に手を回してイチャイチャした雰囲気だ。吉原だから許される光景だろう。普通の街中でしていたら、他の通行人が居た堪れない。
「ありがとぉ♡また指名するねぇ♡♡♡」
獅童「ああ、待ってるぜ。」
女の方へと視線を向けた獅童だが、その視界の端に菊之丞と葵咲の姿を捉えた。
獅童「…ん?あれは…。へぇ。珍しい客連れてんなァ。」
葵咲の姿を見て、ニヤリと企み顔を浮かべる獅童。獅童は腰に回していた手を放し、女をその場に置き去りにするようにして葵咲達の方へと歩を進めた。