第62章 どの組織にも型にはまらない奴がいる。

土方「そういう意味じゃねーよ！遊郭がどういう場所か分かってんのかって事だよ！！」

葵咲「そりゃあ…！」


“遊郭”とはどういう場所なのか。“何をする場所”なのか、これだ。客として潜入するという事は、そういう行為をするという事である。その事に気付いた葵咲は顔を真っ赤にして言葉を失ってしまう。


葵咲「あっ・・・・。その、あの、えっと・・・・・。」


やっと意味が分かったか。そう思った土方は一つため息をついて頭(かぶり)を振る。


土方「…お前は客にゃ向いてねぇ。無理だ。やめとけ。」


見下されたような物言いに葵咲はカチンとくる。そして売り言葉に買い言葉で反論した。


葵咲「そんなもんやってみなきゃ分かんないでしょ！？私だって！それくらい…出来るよ！！」

土方「ヤる気なのかよ！？ふざけんな！！オメーの給料は市民の税金だぞ！税金をそんな如何わしい事に使わせてたまるかァァァァァ！！」


黙って二人の言い争いを見ていた山崎だったが、ここで土方の方にニヤけた嫌な笑みを向けながら話に割って入った。


山崎「とか言ってェ～ホントはただの嫉妬のくせにィ～。」


第三者から見ると二人の言い争いは単なる痴話喧嘩にしか見えなかったのだ。だがこの発言は火に油を注いだだけだった。土方の怒りは加速する。


土方「オメーは黙ってろォォォォォ！！！とにかく！駄目なもんは駄目だ！！」


断固反対の姿勢を崩さない土方。これ以上争うように提案を押し通そうとしても話は平行線。受け入れてはもらえないだろう。そう思った葵咲は少し落ち着いたトーンで別の切り口から話を通してみる事にした。